2011年12月13日火曜日

さるなしドリンク(福島県玉川村)


 「町イチ!村イチ!2011」(有楽町国際フォーラム/2011.12.4)の福島県玉川村ブースで「さるなしドリンク」に目がとまり、珍しい名前だなと思って試飲させていただいたところ、珍しくて不思議な味だったので一本買ってみました。一番近い味はというとキウイフルーツなのですが、ぶどうの味もするしネクターのようなとろっとした感じもして、とにかく今までに飲んだことのないおいしい味でした(実際、さるなしはキウイフルーツの原種でマタタビ科に属するそうです)。
 ちなみに、名前の由来は「猿が我を忘れて食べるから」らしく、また、さるなしは漢字で書くと「猿梨」ですが、梨とは品種的に関係ないそうです。

 持ち帰ってじっくり飲んでみた印象は一言で言うと「純朴」というもので、里山の木々に実った果実を採ってそのまま絞ったようなさわやかな味だと思いました。とかく今の果実系のジュースは、改良を重ねた品種を手間ひまかけて育てて収穫した「洗練された味」がしますが、この「さるなしドリンク」はその対極のような味です。自然と人間の営みが調和している里山の美しい風景を連想させてくれます。

 「さるなしドリンク」の魅力(ブランドのエッセンス)をもっとつきつめて考えると「クセになる味」ではないかと思います。「さるなし」という名前の由来やマタタビのイメージを少し借用しているのですが、何より一度飲んだだけで味の余韻がずっと続き、またあのさわやかな感じを味わいたいという気持ちにさせてくれます。
 こういった「クセになる味」の代表的なブランドは「かっぱえびせん」であり、「コカコーラ」や「ケンタッキーフライドチキン」にもそのエッセンスはあります。そういえば以前、「ケンタッキーフライドチキン」がテレビCMで「食べたくなるなる」というリピート訴求のメッセージを出していました。「さるなしドリンク」もまさに「ふと飲みたくなる飲み物」というメッセージがぴったりくると思いました。

 「町イチ!村イチ!2011」では、いろんな果実を原料とした飲み物をたくさん見かけました。まさに今、日本全国で開発されている地域産品の果実飲料は群雄割拠の状況にあると思います。そんな中で玉川村の「さるなしドリンク」のようなブランドエッセンスを立たせることができる商品は注目に値すると思います。今後の「さるなしドリンク」の展開を見続けたいと思います。



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<参考>
販売者:玉川村生産物直売所
購入場所:「町イチ!村イチ!2011」(有楽町国際フォーラム)の福島県玉川村ブース
価格:100円
購入年月日:2011.12.4

2011年12月5日月曜日

八女抹茶 豆乳飲料(福岡県宮若市)


 スーパーの豆乳売り場で「抹茶」の文字が目にとまり、手に取ってみると福岡で作られている八女の抹茶を使用した豆乳でした。白いパッケージが多い乳製品売り場ではインパクトがあって目立つデザインだと思います。


 味の方はというと、最近の豆乳飲料がそうであるように、これも豆乳独特のクセがなく、口当たりがよくてとても飲みやすい味です。一口目で抹茶のさわやかな香りが立ち上がり、喉につっかえることなくゴクゴク飲め、飲んだ後の余韻も満足のいくものでした。どういう時に飲むのが似合うかを考えてみると、空腹時にお腹満たしとして飲んだり、ほっと一息落ち着きたいときに飲むのがあっていると思いました。


 かつて、豆乳飲料は機能性飲料のスーパースターとして市場に登場し、すぐに確固たる市場を形成して今に至っています。市場に受け入れられた最大の理由は、乳製品としての健康感が、植物性というイメージから来る安全・安心感によってビルドアップされたからだと思います。豆乳市場の初期段階は豆乳のクセを無くした飲みやすさの訴求が開発のポイントでしたが、その技術が成熟して一定の豆乳ファンができた今の段階はフレーバーや風味のバリエーション展開、他の素材とのマッチング展開へとステージが移行し、成熟市場の様相になってきています。

 そのような豆乳市場ステージの中で、この「豆乳飲料 八女抹茶」の魅力が何であるかを考えてみると、それは大豆と茶葉というよく似た親戚同士のような素材が出会って生まれた飲料であることだと思いました。よく似た部分をあげてみると、まず「どちらも、今の食品のなかで健康的な素材の代表的なものの一つであること」があげられます。サッカーで例えると、最強FWのツートップというところでしょうか。すでに一般に広く知れ渡っている大豆と茶葉の健康価値が二つ並んで揃っていることは、お客様目線に立つと大きな魅力だと思います。

 もう一点の魅力は「どちらも、畑で育ったものであること」です。畑=大地という連想をはたらかせると、大地というイメージが持っているどっしりとした安定感が、飲んだ後の心が落ち着く感じと潜在的に結びついているのではないでしょうか?そう考えると「畑で育った大豆と茶葉が出会った、地に足のついた健康飲料」という商品コンセプトが成り立つと思いました。例えば、大豆と茶葉をアイコン化したパッケージやPOPなどのビジュアルツールが、このコンセプトで出来ると思います。また、素材である八女の茶葉やふくゆたか大豆の特徴が取り入れられると、もっともっと魅力的なコンセプトが出来るとも思いました。

 いずれにしろ、この商品はお客様目線で考えるといろいろな可能性を持った商品なので長期的に育成される価値のあるブランドだと思いました。今後の展開をじっくり見守りたいと思います。



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<参考>
製造者:株式会社ふくれん (URL)
価格:105円
購入場所:東急ストア
購入年月日:2011.12.2







 

2011年11月2日水曜日

金のねぶた 銀のねぶた(青森県黒石市)





対象商品
シャイニーアップルジュース「金のねぶた」「銀のねぶた」 (青森県黒石市)
「金のねぶた」は【酸味スッキリ】。厳選したふじと契約栽培の紅玉をブレンドしたキレが特徴。
「銀のねぶた」は【完熟まろやか】。香り豊かな王林と厳選ふじをブレンドしたまろやか風味が特徴。 



商品コンセプト
 この商品のコンセプトは「双子のジュース」だと思います。
 食品ブランドの場合、一つのブランドで味や素材違いのものをラインアップすることはよくあります。ただ、それは「こういう別の商品もありますよ」ということをユーザーに提示しているだけで、ブランディングとして有効に機能してるわけではありません。
 その点、この「金のねぶた」「銀のねぶた」は、頭に「金の~」「銀の~」とつけたことによって、互いに結びつきの強い双子的商品であることをはっきりと表明しています。双子的商品とは、他の商品でいうと「マルちゃん 赤いきつねと緑のたぬき」が最も近いと思います。「赤いきつね」は熱い=赤いというイメージでネーミングされ、「緑のたぬき」は赤の対照の色としてつけられたそうです。つまり、当初からペアであることを意識し、色の記号を用いて双子イメージの訴求とインパクトをねらったわけです。
 実際、商品が売り場の棚に並んでいるとしたら、単体よりも複数の方が目立つのは当然ですし、複数でも単なるラインアップよりは双子的な見え方の方がアピール力は強いと思います。そういった意味で、この商品から読み取れるコンセプトは「双子のジュース」だと思いました。

 また、「金のねぶた」「銀のねぶた」は金・銀というネーミングとデザインで高品質感を醸し出しています。例えば、メジャーな商品ではサントリーの「金麦」、サッポロビールの「金のオフ」、セブンイレブンのPB(金の海老チリソースetc.)、ミツカンの納豆(金のつぶ)やドレッシング(金のごまだれ)などがあり、どれも「金」の世界観で高品質感を訴求しています。「金のねぶた」「銀のねぶた」も同様に“品質のいい、おいしいリンゴジュース”という商品価値を、金と銀の世界観で表現していると思います。

 さらに、この商品からは童話「金の斧、銀の斧」のイメージも浮かびます。童話の内容云々ではなく、言葉の響きから童話そのもののイメージが商品に付加しているということです。童話というイメージからは“民話”→“ふるさと”という連想がふくらみ、“ふるさと”の郷愁を感じさせる地域産品ならではのイメージづくりに役だっていると思います。こういったイメージは青森生まれのリンゴジュースという商品の出自によるものであり、大手ではなかなかできないことだと思います。

プロモーションをするとしたら
 この商品を飲んだとき、金と銀の両方ともそのおいしさにちょっとびっくりしました。「そのまま食べてもおいしいりんごだけを使って、りんご本来の味わいをそこねないように丁寧にジュースにしている~」というのが感想です。これは私だけでなく、一緒に飲んだ仲間もおいしさを絶賛していました。
 プロモーションにおいては、この点に集中して訴求することが効果的だと思います。構造でいうと、“おいしさ”ד金・銀”です。例えば、売り場のPOPに「金はうまい、銀もうまい」といった味訴求のコピーを載せるというアイデアです。これはあくまでも一つのアイデアですが、“おいしさ”に特化したプロモーションを“金・銀”の記号を用いて行うというのが正攻法プロモーションだろうと感じました。


地域産品開発に参考になるポイント
 「ねぶた」は青森の代表的な地域資産・シンボルです。例えば、青森のアンテナショップに行くと、「ねぶた」を用いたネーミングやパッケージデザインの商品が数多くあり、それらの商品が棚にたくさん並んでいると競合状態になっていて商品の違いがわかりにくくなっています。その点、「金のねぶた」「銀のねぶた」は“双子的”な記号が付加されているので類似商品よりも目立ち感があります。
 地域産品には、その地域のシンボルや資産をパッケージやネーミングに使ってブランディングをしているものがたくさんありますが、「金のねぶた」「銀のねぶた」のように他の何かの記号を付加することで類似商品との差別化をすべきだと思います。
 
 一般的に、商品開発のプロセスにおいては、たくさんのアイデアを一定の尺度でふるい分けして一つのコンセプトに落とし込むわけですが、複数の優良なアイデアを無理矢理ふるいに落とさなくても、“双子”のようなキャパのあるコンセプトを受け皿にすることでパワーのある商品を考案できることに気づきました。

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2011年10月25日火曜日

番外編〜まちづくりイベント:西小山ミステリーツアー2011

 このブログは、日本全国のいろいろな地域で作られている地域産品にフォーカスしたものですが、今回は番外編として「まちづくりイベントのケーススタディ」をアップします。
 というのも、地域産品の製造販売をしている人と接していると、多くの人が地域のキーマンとして“まちづくり”に関わっておられるという印象があり、そういう方々にぜひ読んでもらい、インスパイアーしていただきたいと思ったからです。
 また、商品とイベントというカテゴリーこそ違いますが、プランニングという点では同じなので、地域産品開発に新たな視点を提供できるのではないかとも思いました。


 イベントは、東京都の品川区にある東急目黒線西小山駅近辺で行われた「西小山ミステリーツアー2011」です(イベントに参加したのは10月23日でした)。


ツアーのパンフレット
ポイントが書いてあるツアーマップ
マントを着たガイドの方
ツアーの参加者にポテトフライを無料で提供
じゃんけんコーナー

ポイントに張ってあった、このあたりの昔の写真(川が流れていた花街だったそうです)

概要
 参加者は、受付でもらったミステリーマップを見ながら、18カ所あるポイントを探してキーワードを見つけ、ミステリーマップについているクロスワードを解き、正解者は景品抽選会の参加権を得る~というウォーキングイベントです。
 ツアーの参加者は親子連れやカップルが多く、とても盛り上がっていました。また、一人で参加している中高年男性やお友達同士で参加しているお年寄りが多かったのも印象的でした。
 各ポイントにガイド役のボランティアスタッフ(中央大学の「まちづくり・細野研究室」の学生さんだそうです)がいて、謎解きのヒントや道順を教えてくれるので、ミステリーの難易度は高くはなかったです。

まちづくりプランニングの参考になりそうなキーワード
【お接待マインド】
 ポイントになっているお店がプレゼントや飲み物・食べ物を参加者に無料で提供し、お店の人と参加者が西小山の地域やこのイベントについて会話をかわしていました。その様子を見ながら、これは何かに似ているなと思っていたのですが、一番ぴったりくるイメージは四国巡礼のお接待*でした。
 ミステリーツアーは四国八十八カ所を巡る巡礼、お遍路さんはイベントの参加者、ポイントのお店の人は四国の地元の人、という構図です。
 西小山の地元の人のおもてなしを受けて、イベントの参加者はこのミステリーツアーに対してきっといい印象を持ったと思います。そして、リピーターになって次回も参加されるのではないでしょうか?過去の概要を見ると、09年の募集人数は1500名でした。今年は3000名です。きっとお接待効果でリピーターが増えているのだと思います。
 ちなみに、【お接待マインド】というキーワードを思いついたとき、東京マラソンでバナナや水をランナーに渡しているボランティアの方々のイメージとも重なりました。オリンピックのボランティアもしかり。お接待マインドはイベントの大小に関わらず、参加者に好印象を持っていただく秘訣の一つだと確信しました。
※お接待:(四国八十八箇所の)道中、お遍路さんに対して地元の人々から果物や金品、善根宿など、お接待または接待とよばれ、食べ物や飲み物、手ぬぐいやときには現金を渡す無償の提供がなされる伝統がある。これに対し、遍路は持っている納札(おさめふだ)を「お接待」してくれた人に渡すことになっている。こうした文化のおかげで、昔は比較的貧しい人であってもお参りができたといわれる。(wikipedia)

【挑戦】
 世界各地の民族が持っている神話には共通のストーリーやファクターがあり、「挑戦」というキーワードもそのファクターの一つだといわれています。ハリウッドの映画制作会社は神話分析によってストーリー作成のノウハウを構築しており、「スターウォーズ」はその典型的なケースです。
 このイベントも、ミステリー=クロスワード解きは「挑戦」そのものであり、参加者は子供からお年寄りまで、おおいに楽しめたと思います。実際、道ですれ違う人の表情はとても楽しそうでした。また、ツアーの要所要所で、いろいろなゲームに参加できる仕掛けがありました。ゲームといっても、射的やじゃけんなどささやかなものですが、ミステリーツアーに参加しているという一体感があって、実際にやってみるとそれなりにテンションがあがりました。
 いろいろなイベントのプランニングをする際、企画側からの情報提供や物販も大事ですが、参加者に何らかのカタチで「挑戦」する機会を提供することも、盛り上がりを演出するうえでとても大事だという感想を持ちました。

【コミュニティレガシー】
 いくつかのポイントには昔の街の様子を知ることができる写真が貼ってありました。あるポイントではガイドの方から「西小山にはむかし花街があり、この料理屋さんはその時代から続く老舗料亭だった~」というエピソードを教えていただきました。普段よく見なれた駅前商店街の風景も、こういうエピソードを聞くことで風情が感じられ、印象がガラリと変わります。映画館や先代の林屋三平が舞台にあがった演芸会館もあったそうです。
 地域の歴史的な資産(コミュニティレガシー)がコンテンツになっているのは、世界遺産や最近話題になっているジオパークなどがその典型ケースですが、NHKの「ブラタモリ」もレガシーを使って今の街を別角度で楽しむ構成になっていて、東京の街のこの坂が江戸時代はこんなふうだった〜ということを視聴者に再現映像で見せたりしています。つまり、コミュニテレガシーというのは目では見えない地域の姿を想像するエアーARのアイテムのようなものであって、“地域の印象を多層的に組みかえる”という点ではとても有効なものだと思います。

以上の3つが、私がイベントに参加して実感したまちづくりプランニングに参考になりそうなポイントでした。


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2011年10月17日月曜日

塊炭飴 (北海道赤平市)


対象商品
「塊炭飴」(北海道赤平市)
 赤平市がかつて産出していた塊炭の形と色調、光沢になぞらえた飴菓子。原料は北海道特産のビート糖とカッシャ(ニッキ)。
製造者:石川商店

商品コンセプト
 見た目、味、ネーミングなどの印象から、この商品のコンセプトは「無骨な男が好む飴」だと思いました。
 塊を砕いたままの石ころのような形状、女性や子供が好む甘さ一辺倒の味とは違うニッキのきいたパンチのある味、「塊」「炭」というお菓子らしからぬ無愛想なネーミング…などから、人に媚びず勤勉で実直でまじめなキャラクターを連想します。戦後の高度経済成長を支えたのは“こういうオトコたち”だったのでしょう。とにかく、リアルなユーザー像が浮かぶ商品だと思います。

プロモーションをするとしたら
 2006年にポッカコーヒーが「オッサン。」というキャッチコピーでキャンペーンをしていました。タレントに柔道家の吉田秀彦さんを起用し、メッセージは「まっすぐに生きる男たちへ。あなたたちこそカッコいい!」でした。
まさにこのターゲットとメッセージが「塊炭飴」のプロモーションのヒントになると思います。
 例えば、「無骨な男」のイメージターゲットを、いわゆるガテン系の現業職の人々と設定すると、そのターゲットのタッチポイント(ブランドとユーザーの接点)でのサンプリングやポスターなどでの露出が有効だと思います。
 例えば、(イメージとしての)駅裏のスナック街というタッチポイントにフォーカスし、カラオケーメーカーとタイアップするプロモーション(サンプリングやステッカー等)…などのアイデアが浮かびます。

地域産品の商品開発にあたって参考になる点
 「塊炭飴」は、このブログで取り上げた「コウノトリ育む米」「よいとまけ」などと同様に、地域の個性や資産をダイレクトに商品に反映させているケースだと思います。
 「この地域産品は、どこの地域のどのような商品なのか」という流通やユーザーの問いかけに対して、商品を提示するだけですぐにわかっていただけることが、この種の商品の大きなメリットだと思います。類似商品、競合商品が多い地域産品マーケットでは、これは大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。
 また、コンセプトを人間の性格やキャラクターに設定した場合、ターゲットの設定とそれにそったプロモーションのプランニングがスムーズにできることもわかりました。逆の発想をすると、今注目を集めている人のパーソナリティをあぶり出してコンセプトメイキングを行い、それにあった製品開発(素材や製法を組み合わせるなど)も大いにありえると思いました。


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2011年10月8日土曜日

バンビ ミルクキャラメル (北海道小樽市)


対象商品
「バンビ ミルクキャラメル」(北海道小樽市)

商品コンセプト
 この商品のコンセプトは「小学生の遠足の時に食べたおやつ」だと思います。
 米菓やキャンディが日常のおやつであるのに対して、キャラメルやチョコレートには“特別なときに食べるおやつ”というイメージのDNAがあるのではないでしょうか。遠足というのは“特別なとき”であり、また“野山”“駆け回る”などのイメージもあるので、子鹿のイメージと重なって魅力的なコンセプトになっていると思います。
 またチョコレートは今も新しい商品がどんどん出て鮮度の高いカテゴリーであるのに比べて、キャラメルはどこか懐かしさを感じるカテゴリーなのではないでしょうか。そのイメージが、“小学生”という懐古イメージに結びつくと思いました。
 暖かい春の日の遠足で、友達と一緒に芝生の上に座ってお弁当を食べた後、ちょっと柔らかくなって紙にくっつきかけたキャラメルを頬ばったときのほのかな甘さ…というシーンとシズルが浮かびます。

プロモーションをするとしたら
「毎日北海道記者和田浩幸のサブノート」というブログには、ウォルトディズニーから商標を得て発売してヒット、チクロ騒動の影響で発売中止、30数年ぶりに復刻し爆発的な人気に、原油高によりメーカーが倒産、大手メーカーのブランド買収を従業員が阻止、情熱にかき立てられた取引先の菓子卸業社が製造工場を建設しブランドを継承~というブランド復活のエピソードが書かれています。この物語こそがプロモーションの素材になると思います。人が見えるブランドストーリーは、ユーザーのココロをつかむ最大のツールです。

地域産品商品開発の参考になる点
 「バンビ ミルクキャラメル」には「ノスタルジックキャラクター遺産」という価値があると思います。
 この商品の「バンビ」のようなノスタルジックなキャラクターは、大人だけでなく子供も含めた多くの人をひきつける魅力があります。また、遺産とは長い年月を経ても変わらない普遍的で魅力的な価値を、世の中に広く提示する装置のことだと思います。だからこの世界遺産やジオパーク*に注目が集まっているのでしょう。

 都会が次々と新しいコンテンツを生む場所であるのに対して、ローカルはこういったノスタルジックなコンテンツを綿々と作り続けている場でもあると思います。そういったコンテンツを掘り起こし、新しい息吹を吹き込むことで魅力的なブランドが必ずできるという確信が持てました。

*ジオパークとは地球科学的に見て重要な自然遺産を含む、自然に親しむための公園。日本ジオパーク委員会 では「大地の公園」という言葉を使っている。(wikipedia)



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※その他画像







2011年10月3日月曜日

海のくんせい屋 (高知県室戸市)




対象商品
海のくんせい屋 (高知県室戸市)

商品概要 ※商品説明等を引用
 獲れたての鮮魚を衛生管理されたクリーンルームで調理し、海洋深層水と塩を使って燻製にしたもの。食べやすいようにスティック状に加工されている。無添加で保存料不使用。

製造者 株式会社マリンファーム
価格:15g 158円(税込み)

品質(試食の感想)
 くんせい独特の香りと濃厚な味にインパクトがあります。食感は、最初は歯ごたえがあるものの、食べ進むうちにホロリとくだけていく感じがおもしろいです。

商品コンセプト
 この商品の魅力はシイラ(マヒマヒ)という“珍しい魚のくんせい”という点にあると思います。
 ユーザーがこの商品を店頭で見たら、「マヒマヒ?へぇーなんだろう」「おもしろそう、ちょっと食べてみよう」「飲み会に持って行ったらウケそう」というポジティブな感想を持つのではないでしょうか。
 酒の肴の商品開発では、健康や製法に加えて話題づくり(珍しさ)も大事です。その考え方にこの商品はあっていると思います。

 今後、こういった珍しい種類の魚のくんせいが増えれば、「くんせいカテゴリー」が活気づくでしょう。果物や野菜カテゴリーは、新種・海外物・国内のご当地物などのいろいろな品揃えが百花繚乱で楽しいです。そういった活気のあるカテゴリーには自然に消費者の目が集まるので、例えば豆苗や食用ホウズキなどの新顔がすぐに話題になります。
 この方程式が「海のくんせい屋」にあてはまると思います。「くんせいカテゴリー」全体で深海魚などの“聞いたことはあるけど食べたことはない魚”を商品化していくと活気づくのではないでしょうか。

ネーミング
 「海のくんせい屋」はブランドの傘にあたる屋号的な位置づけでしょう。
 マヒマヒという名前にはインパクトがあるので、それを前面に出す考え方を探った方がいいと思います。実際、売り場ではメジャーな魚が多かったので、マヒマヒは目立っていました。

パッケージ
 色使いやレイアウトにセンスがあって、あかぬけていると思います。
 今後の方向性として、上記のようなコンセプトでいくとしたら魚の写真などを使って珍しさや面白さにフォーカスすると目をひくデザインになると思います。

プロモーション
 FacebookやTwitterの普及で、珍しいモノや面白いモノを探して紹介するソーシャルコミュニケーション(キュレーション)が盛んになっています。このようなコミュニーションにフィットする話題性をしかけると効果があるのではないでしょうか。
※たとえば、「マヒマヒ食おうぜ!」というブログにあった、マヒマヒくんせいのチャーハン というメニュー提案など、おもしろいと思います。

参考になる点
 魚は食肉よりも多種多様な種類があるカテゴリーです(マーケティング用語で言う「バラエティシーキング」)。このケーススタディで、魚のくんせい商品の本質は、魚の多種多様な種類を食べる楽しさを提供することだと気づきました。
 例えて言うと、「居酒屋のメニュー選びの楽しさを食卓で再現する」という考え方です。不況の影響で家飲みが定着している昨今、「うち居酒屋」の商品開発に大きな可能性がありそうな気がしてきました。
(今のトレンドでは、「うちカフェ」などの「うち~」シーンは、要注目のシーン)

(2011.7.31 東京都中央区銀座「まるごと高知」で購入)



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