2011年9月26日月曜日

太陽いっぱいの真っ赤なキャラメル (北海道小樽市)



対象商品

商品概要 ※商品説明等を引用
 北海道・砂川契約農場で丹誠込めて育てられたフルーツトマトピューレを使用。
 原料で使用しているフルーツトマトは、ほどよい酸味と、とびきりの甘さと旨味が特徴のカンパリ種(ファンゴッホ)という品種。
 キャラメルをつくるきっかけとなった「太陽いっぱいの真っ赤なゼリー」は、完熟した旨味いっぱいのフルーツトマトを使い、自然な甘みとコクを引き出した新感覚のゼリー。

製造者 道南食品
価格:18粒入り 157円(税込み)

品質(試食の感想)
 第一印象は「トマトの新しい食べ物」だというものです。理由はトマト独特のさわやかな風味が食べたとたんに口の中に立ち上がり、キャラメルの食感や味わいは後から追いかけてきたからです。
 そういう意味では、キャラメルだと思って食べると少しながら違和感があるかもしれません。これは、キャラメルカテゴリー全体の問題でもあって、メロンやイチゴなどのフルーツキャラメルがもっと普通になれば違和感なくとらえられるようになるでしょう。

コンセプト
 パッケージの色が商品のすべてを表しておりコンセプトそのものだと思いました。
 トマトという食べ物の本質、トマトの味と風味、“太陽いっぱい”というネーミングで言いたかったこと、それらの要素のすべてをこの色が物語っています。これは、デザイナーのお手柄でしょう。

ネーミング
 「太陽がいっぱい」ではなく、「が」をとった「太陽いっぱい」というネーミングは“引っかかり”があっていいと思います。
 よく考えると太陽というのは南国の象徴であり、北海道とはギャップがあるような気もしますが、太陽と北海道には“広大”“大きい”という共通項があるために懸念するほどの違和感はないと思いました。

パッケージ
 色使い、レイアウト、ロゴやシンボルの処理など大手メーカーのブランドと比較しても遜色のない洗練されたデザインのパッケージだと思います。この「洗練されている」点は、良くも悪くも地域産品らしい顔つきから遠く離れています。
 まず良い点は、おいしさや高品質感がパッケージからストレートに伝わるということです。
 懸念事項と思われる点は、地域産品が並んでいる店頭では浮いて見える危険性があるという点です。地域産品のパッケージデザインというのは、一種独特の統一されたテースト(素朴、ストレート等)で表現されています。その中に、一つだけ全く異質のジャンルのデザインがあると浮いて見えてしまいます。“浮いて見える”ということには二つのポイントがあって、ネーミングと同じような、いい意味での“引っかかり”という点と、地域産品を探す意識で棚を見ているとスルーされる危険性があるかもしれないという点です。リサーチなどが可能ならば、クリアしておいた方がいいと思います。

プロモーション
 色が特徴なだけに、店頭(POP 等)、ツール、メディア等のカラーリングを統一するカラー戦略がまず頭に浮かびます。
 また、その色が象徴するもの(イメージを想起するもの)をピックアップし、プロモーションモチーフにすることも有効でしょう。例えば、たばこのマイルドセブンのブランド戦略は「白の戦略」と言われるもので、プロモーションにおいてもポスターなどのツールには白が象徴するものとして雪にフォーカスし、スキーやスノートレッキングなどのスポーツシーンの写真が数多く取り上げられていました。こういうやり口は大いに参考になると思います。
 また、キャラメルの価値を訴求するのか、トマトの価値を訴求するのかという判断が求められます。キャラメルアプローチだとすると、新しさ(味)、健康感、さわやかさなどが訴求ポイントになるでしょう。トマトアプローチだとすると、訴求ポイントは新しさ(食べ方)、手軽さ、身近さ、ポップ感などです。
 共通するのは「新しさ」ということだけに、既存のファンをソーシャルメディアで顕在化し、フォロワー層へ波及する方策があると思います。具体的には、Twitterやmixiで既存ファンの生声を浮かび上がらせ、それをフォロワー層に伝えるというやり方があります。

参考になる点
 パッケージの色が持つパワーを改めて感じました。デザイナーが商品の本質を理解し、それにピッタリと合う色を探し出すことは、開発責任者が求めている味にぴったりと合う原材料を探し出すことと同じレベルだと実感しました。
 色にブランドの軸足があるとしたら、それを起点としたブランドエクステンション、リニューアル、プロモーション等の展開は大きくぶれることはないでしょう「

(2011.9.2 京王百貨店新宿店「大北海道展」で購入)



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2011年9月12日月曜日

よいとまけ (北海道苫小牧市)






商品概要

 ハスカップジャムを表面と中に巻き込んだロールカステラ。初代社長の小林正俊が、故郷である苫小牧を代表する“土地に根ざした銘菓”をつくろうと決意し、「原野に自生しているハスカップ」「王子製紙の作用現場から聞こえてくる労働者たちの『よいとォまいたァ』のかけ声」「紙の原料となる丸太」の3つの要素を盛り込み、苦労の末にロールカステラの外側にハスカップジャムを塗り込んだお菓子として作り上げ、昭和28年に発売した。

製造者 株式会社三星

価格 1本:16.5cm(7切れ) 525円



品質(試食の感想)

 口に含んだ直後はハスカップの素朴な酸味が飛び込んできますが、次第にロールカステラの甘みが広がり、やがて2つの味が口の中でハーモニーを奏でます。酸味と甘みが互いをバランスよく引き立てているという印象です。コンビネーション、味のかけ算、10代の頃の甘酸っぱい思い出といったキーワードが浮かびます。
 食品以外のモノに例えるとしたら、ミュージカル「美女と野獣」です。
→美女:ロールカステラ、野獣(野性的という意味で):ハスカップ

コンセプト
 「よいとまけ」は北海道を代表するお菓子として有名ですが、それは明治創業という長い伝統もさることながら、商品コンセプトに強い物語性があるために多くの人に愛され続けているのだと思います。
 その物語性とは何でしょうか。
 まず第一はノスタルジー性です。すなわち、商品の向こう側に製紙工場から聞こえる力強い声や山積みになっている太い丸太のイメージが浮かび上がります。この五感をくすぐるノスタルジックさが大きな特徴でしょう。
 もうひとつは、開発者の情熱がエピソードとして残っているという点です。地域産品に限らず、あらゆるロングセラー商品を生む条件の一つとしてこのような“開発者の情熱”があげられます。例えばカップヌードル、味の素、カルピス、(バイクの)スーパーカブ、ウォークマン、コカコーラ、ケンタッキーフライドチキン、(パソコンの)マッキントッシュなどがっそれにあたります。
 以上のようなノスタルジー性という縦糸と開発者の情熱という横糸が紡ぎ出す物語性がこの商品の大きな魅力となってコンセプトを築いていると思います。

ネーミング
 力強さと無骨さを感じさせる響き、素朴さや郷愁をかきたてる土着っぽさなど、甘いお菓子とはかけ離れたギャップがインパクトをもたらしています。
 商品の物語性を忠実にあらわし、人の口から発せられたままの素っ気ない言葉であることが、いい味わいとなっています。

パッケージ
 大きく扱った商品のビジュアル、素朴な風情のロゴ、ハスカップを連想させるカラーリングなど、やや地味ながら安定感を感じるデザインです。よくある“伝統イメージが醸し出す古くささ”が足を引っ張っている、ということはないと思います。

プロモーション
 「日本一食べづらいお菓子」という“つかみ”が注目を引くキャッチーな要素となっています。店頭のPOPやHPのキャッチなどに書いてあると、もっと注目を浴びるでしょう。
 個人的には、老化防止などのハスカップの健康効果を訴求することはコミュニケーションロスだと思います。同様の健康訴求をしている商品はヤマほどありますし、食べる人はそういう期待をカケラも持っていないでしょうから。
 ジャストアイデアですが、商品名からの発想として、“全国の労働中のかけ声(方言)”の募集と発表(ネットやパッケージ)などもいいと思います。(ex.第一生命のサラリーマン川柳、おーいお茶の新俳句大賞のような公募型PR)

参考になる点
 地域独自の文化の中からノスタルジー資源といったものを掘り起こし、商品に組み込めそうな要素を洗い出すことはとても大事な作業であることがわかりました。
 また、コンセプトに五感を刺激する要素を持ち込むこと、何らかのギャップがインパクトをもたらすこと、という2点が重要であることもわかりました。


(2011.7.31 東京有楽町の交通会館内 北海道どさんこプラザで購入)



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ぱんじゅう (北海道小樽市)





写真は左から、クリーム、もちあん、塩キャラメル

商品概要
 こしあん、つぶあん、クリーム、チョコ、しろつぶ、もちあん、塩キャラメルなどの餡を小麦粉の生地で包み込んで焼き上げたもの。
製造者 桑田屋
価格:こしあん(85円)、つぶあん(85円)、クリーム(85円)、もちあん(95円)、塩キャラメル(95円) 1

品質(試食の感想)
 第一印象は、一口サイズながら十分な食べごたえを堪能できるというものです。
 特徴は、饅頭のふわふわした食感とは正反対の凝縮して詰め込まれた餡、そして薄いけれどもしっかりした弾力で歯ごたえを楽しめる生地の2点です。餡は手づくり感を感じさせるホッとする味わいです。

コンセプト
 ぱんじゅうとは、広辞苑によると「ぱんと饅頭とを折衷した菓子」とありますが、実際はパン生地というよりもWikipediaの「今川焼きから派生した半球型、釣鐘の形状をした焼き菓子」という説明の方が納得がいきます。
 いずれにしても、饅頭のようで饅頭ではなく、あんパンを連想するがあんパンの味ではない、今川焼きの味のようだがちょっと違う……つまり、それらの中間の味という言い方が一番合うと思います。
 この商品の由来を見ると「小樽の文明開化の中から生まれ~パンがまだ高価な食べ物だった頃~西洋文化への憧れとともに人気になった。~」とあり、伝統的な和菓子に通じるものを感じさせます。一方で、形状や味、作り方や売り方などから駄菓子のイメージも醸し出しています。
 以上のことから考えると、何とかのようで何とかでない=「無個性の個性」という商品価値が根底にあると思います。これは決してネガティブなことではなく、代わりのいないマルチユーティリティープレイヤーといえるでしょう。

 今後、より多くのお客様に受け入れていただくには、エッジのどれかを立たせればいいと思います。エッジは明治やレトロといった伝統・歴史性、縁日や下町といった庶民性、地域性、食感と味、餡のバラエティー性等々たくさんあります。もしも反応がかんばしくなければ、そのエッジはひっこめて、違うエッジを立てればいいだけです。土台がしっかりしているのでブレることはないでしょう。これが「無個性の個性」であることの強みだと思います。

ネーミング
 誰でも、はじめて聞いたときは「パン?まんじゅう?」という反応をするでしょう。
 この「?」が、商品を覚えてもらうことの「つかみ」として機能すると思います。より関心を持ってもらうためには、「○○のぱんじゅう」というショルダーコピーのようなものが必要かもしれません。どのような方向性にするかは、エッジ次第です。

プロモーション
 「無個性の個性」だけに、ジャストアイデアでいろいろなプランが考えられます。
 例えば、
・「小樽の~」「文明開花に生まれた~」というキャッチコピー開発
・ぱんじゅうを焼いている庶民的な職人さんのキャラクター化
 →明星チャルメラのイメージ
・商品に顔の似顔絵を描いたキャラクターづくりとそのシンボル商品化
・「新商品は、中にどんな餡を入れたらいいでしょう?」というアイデアコンテスト
等々
ただし、今後の方向性(エッジ)にそったものでないと単発企画で終わる危険性もあります。

参考になる点
 通常、商品開発を行う場合、どうしても特徴を絞り込みたくなります。また、そうしないと商品として成立しないことが多々あるのも事実です。
 にもかかわわらず、「ぱんじゅう」のような商品が魅力的に思えるのは、開発過程における「あいまいさ」をポジティブに置き直すことによって、結果的に新たな世界が開けたということなのでしょう。その意味で、こういう開発姿勢や考え方もあるのだということがわかりました。
2011.9.2 京王百貨店新宿店「大北海道展」で購入)



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土佐一本釣り姫かつお(塩味) (高知県土佐清水市)






商品概要
かつおの身を特製たれで漬け込み炙り焼きにした。
保存料・着色料未使用、室戸海洋深層水使用、土佐清水産宗田鰹使用。
製造者 土佐倉株式会社
価格:189円(税込み)

品質(試食の感想)
 本格的なかつおの味わいがあり、見た目は小ぶりだがしっかりした食べ応えがあって十分に満足できます。ソーセージをガブリと丸ごとかぶりつくシズルが合いそうな形状と太さで、ワイルドな食べ方が似合ういそうです。
(少しマニアックなアナロジー テレビドラマ「傷だらけの天使」のオープニングで萩原健一が魚肉ソーセージを食べるカット。これを見るとやたらソーセージをかぶり食いしたくなります。)

コンセプト
 一言でまとめると、かつおのうまさを手軽に味わえる、まるかじり・おつまみスティックということでしょう。
【かつおの味】=本格=土佐清水産宗田鰹使用
【かつおイメージ】=躍動感、はじける、荒々しい、タフネス、メジャー感
【まるかじり】=豪快、ワイルド=海の男の荒々しさ
【手軽】=スティック状・大きさと太さ・コストパフォーマンス
などの要素が商品から読み取れます。
 ユーザー価値から考えると、まるかじりのシズル訴求、家飲みシーンの拡大にのった手軽なおつまみ訴求の2方向が将来の方向性として考えられると思います。

ネーミング
 オーソドックスな直球勝負のネーミングでわかりやすいです。
 ただし、インパクトや訴求力についてはどうでしょうか?
 「一本釣り」のイメージについては、40代以上は青柳裕介のコミックから受けた影響が大きいでしょうが、2030代層がどのようなイメージを想起するか知りたいところです。

パッケージ
 「なとり」は「若年層の家飲みシーンの拡大」に気づいたのか、最近はターゲットを絞り、洗練されたパッケージ開発に取り組んでいます。実際、家飲み用の低アルコール商品の開発・発売も盛んになっており、この流れは今後大きくなるでしょう。コンビニのおつまみコーナーも商品ラインナップが変化しています。
 本商品は現状でもデザイン的に洗練されておりソフト化路線を意識していることがうかがえます。実際、店頭でも目立つちます。商品ラインナップとカラーリングに特徴があるからだと思います。
 今後さらにこのソフト化路線を強め、若年層を意識した方向性にシフトしてはどうでしょうか?カギはロゴの処理のような気がします。

プロモーション
 戦略レベルのジャストアイデア(順不同)
・家飲み用の手土産おつまみの定番ポジションを獲得
・スティックつまみのメニュー開発
 →野菜スティック、かつおスティック、肉のスティックなどのスティックパーティー
・箸を使わず、また手を汚さずに食べられる本格おつまみ路線
 →パソコンやスマフォをしながらのながら飲み専用スナック
・食べ方ワードの開発と普及
 →例:かぶり食い、まるかじる、カジラー、スティックイート 等

参考になる点
 価格設定・大きさ・スティック形状の絞り込みによって、ユーザーに手軽に食べられるベネフィットを提供している点は大いに参考になります。家飲みシーンでのおつまみは、食事と違って食べ方が様々なので手軽さは大きな価値になります。例えば、「箸を使わなくてもいいちゃんとしたおつまみ」だけでユーザーにとっては魅力的な購入理由になるでしょう。
 おつまみに限らず、食品全般でまるかじりのシズルに可能性がありそうな気がしました。うまくコンセプトメイキングすれば思わず食べたくなる~商品というイメージを想起させる開発ができそうに思います。
 躍動感など、かつおには魅力的なイメージがまだまだ眠っていることが、今回のケーススタディでわかりました。こういう時代だからこそ、かつおのダイナミックなパワーが必要なのかもしれません。

2011.7.31 東京都中央区銀座のアンテナショップ「まるごと高知」で購入)




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塩けんぴ (高知県高岡郡四万十川町)








商品概要
植物油とグラニュー糖を浸透させ、塩のうま味を引き出した独自製法
製造者 株式会社南国製菓
価格:397円(税込み) ※240g

品質(試食の感想)
 塩が、さつまいも本来の味を引き立てており、さつまいものおいしさとはこういうものだったのか、ということを改めて感じさせてくれます。
 パッケージには「塩のきいた甘から味」とありますが、グラニュー糖の味はあまり感じません。油っぽさも感じないのでヘルシー感があります。

コンセプト
 「主役=いも、塩=引き立て役。以上」という素朴で力強い商品コンセプトを感じました。パワーのある商品というものは、本来こういうことなのでしょう。
 「塩けんぴ」という商品の背景には、自然の大地の恩恵とそれを尊ぶもの作りの姿勢が見えます。自然、悠久の大地、植物の恵み、ヒトのいのちにつながる、人間とイモの長い関わりの歴史というキーワードが浮かびました。
「何も足さない、何も引かない」という名コピーがふと頭をよぎります。

ネーミング
 シンプル&ストレートなネーミングです。
 この商品本来の世界をお客様に伝えるには、今ある味ワードとは別に、商品コンセプトを裏付ける情緒ワードが必要なのかもしれません。
 この商品ならではの、お客様のココロに刺さるコトバとは何でしょうか?

パッケージ
 シンプルイズ・ベストではありますが、商品が持っているパワーを反映させたパッケージのあり方を追求しないともったいない気がします。あるがままのシンプルさと考え込まれたシンプルさは違うと思います。

プロモーション
 ナショナルブランドとしても通用する商品力があるので、ローカル色を払拭したプロモーションも可能です。むしろその方が可能性が広がると思います。
 世代・性別・オケージョンを問わないマルチ訴求が可能なだけに、どこに戦略を絞るのかはかえって難しいでしょう。
 ノーマルな戦略としては、現状のユーザーデータを分析して「こんなヒトに人気です」というファン層を提示し、そこを発火点として客層を拡大する手があると思います。

参考になる点
 力のある商品は、説明的な装飾や演出過剰のマーケティングをすべきではないということがよくわかりました。この商品ならば、キャラクターを設定したり、細分化したラインナップなどは必要ないと思います。
 当たり前ですが、食材の本来の価値をとことん追求する開発姿勢が大事であるということが改めてわかりました。後は、その価値をどうお客様に伝えるかということにつきると思います。

2011.7.31 東京都中央区銀座のアンテナショップ「まるごと高知」で購入)



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おりーぶぐらっせ (香川県小豆郡小豆島町)









商品概要
オリーブ果実(スペイン産)と砂糖だけで作ったオリーブグラッセ。
オリーブを種ぬきにし、糖蜜で長時間熟成し、乾燥させたもの。
製造者 東洋オリーブ株式会社
価格:368円(税込み) 内容量:100g

品質(試食の感想)
 オリーブというと、どうしても食べる前から独特の個性的な味を想像してしまいますが、予想外のソフトでやさしい味わいでした。(同様の意見は他のブログにもあります。)
まず、口に含んだときに砂糖の甘さが飛び込んできますが、グラッセらしからぬほのかな甘味で、これならたくさん食べられそうという気がします。肝心のオリーブの風味は後からじわっとやってきて、食べ終わった後もしばらくは高原の風のような心地よい余韻が続きます。噛み砕くよりも、口の中で転がし続けている方が味わいを楽しめる気がしました。

コンセプト
 オーリブの食品というと、まず、オリーブオイルやピクルスなどを思い起こすのではないでしょうか。
 そのオリーブをグラッセとして商品化した、という希少性がこの商品の第一の強みだと思います。オンリーワンの商品であるということで圧倒的なアドバンテージを持っているのは間違いありません。
 今後、検討が必要になるのは、この商品ならではの世界観の構築だと思います。オリーブに強烈な太陽の日差しが降り注ぐ地中海の風土というイメージが内在しています。一方、この商品にはジャパン&小豆島オリジナルというイメージが強いと思います(スペイン産のオリーブを使っていたとしても)。このあたりの調整が今後必要になってくるのではないでしょうか。

ネーミング
 シンプル&ストレートなネーミングでユーザーに最短距離で伝わり、かつ覚えてもらいやすいと思います。競合がいないカテゴリーでしかできない最強のネーミングでしょう。

パッケージ
 パッケージの形状はプチ高級感を感じさせます。これならば、ちょっとしたプレゼントや手土産でもおかしくないでしょう(画像検索すると、リニューアル前はビニール袋に詰めただけの簡素なパッケージだったようです)。
 「おりーぶ ぐらっせ」「とうようおりーぶ」と平仮名で処理をした商品メーカーロゴです。メーカーロゴには昭和30年創業のショルダーをつけ、和風イメージを強調しています。ソフトな味との整合性を考えると、これはいい考え方だと思います。
 その分、地中海のオリーブイメージは間引かれているので、店頭でのインパクト・目立ち感で損をしていることは仕方ないでしょう。
 今後、トライアルユーザーの獲得のためには、味イメージの訴求などを検討したいところです。(オリーブ独自の味ワードとはどんなものでしょうか?)

プロモーション
 オンリーワン商品であることの訴求が効果的だと思います。ユーザーの認知を獲得する手立てをとることがまず必要でしょう。
 ゆったりとしたカフェタイム、家でくつろぎながらお酒を楽しむときのおつまみなどのオケージョンが一番ピッタリきます。ただし、そのオケージョンは他カテゴリーの競合も多数いるので、ポジションの取り方には一考を要します。
ジャストアイデア:「女子会の家飲みおつまみで人気NO.1」などの話題作りや、例えば、グラッセカテゴリー全体の話題作りに関わり、その中で本商品の存在感を増すのも一つの手立てだと思います(ex.「ハーゲンダッツ アイスクリーム グラッセ」は今年大ヒットしています)。
 パッケージのところで述べたように、ネット通販では味イメージの訴求も大事な方策です。オリーブには平和の象徴というシンボルでもあります(今年あったオリーブ革命等)。この点からプロモーション案を自由な発想で考えてみるのもおもしろいのではないでしょうか。

参考になる点
 専門メーカーが、得意なアイテムで新たなカテゴリーに挑戦し、結果を残したケースとして参考になります(開発から販売に至るまでのエピソードを知りたいところです)。また、今後この商品をどのように育てていくかも見続けたいと思います。
 ブランドエクステンションを自力で行い、他社の参入を受け入れることによってカテゴリーを形成するという戦略もあるのではないでしょうか。
 海外由来のモノを和風化するという点でも参考になるケースです。もともと日本文化は、他国からいろいろなモノを受け入れ、日本流にアレンジすることに長けているのが特徴の一つです。この商品も、その流れの一つであるといっても大げさではないと思います。

(2011.7.31 東京有楽町の交通会館内 徳島・香川トモニ市場で購入)



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