2011年9月12日月曜日

コウノトリ育むお米 (兵庫県豊岡市)






商品概要
 現在、兵庫県豊岡市には、野外放鳥されているコウノトリが43羽生息中(2011.7.31現在)。「コウノトリ育むお米」はコウノトリの餌となる小魚などが生息できる田んぼで無農薬・減農薬栽培したもの。
 売り上げの一部をコウノトリが住みやすい環境づくりのための保護育成基金として寄付している。
価格:450g(約3合)・350円
特別栽培米 兵庫県但馬産こしひかり(無洗米)

品質(試食の感想)
 柔らかな品のいい味という印象です。天然や自然栽培の食べ物から連想する野生の素朴さ・荒々しさとは真逆の味で、食欲がないときでもたくさん食べられそうな気がします。
ワインでいえばライトボディな感じでしょうか。繊細、純粋、スムースといったイメージが浮かびます。

コンセプト
 この商品は、自然環境の保護・野生動物の保護・生物多様性の保全・食品の安心安全・健康問題といった複数の社会的なテーマが、コウノトリというシンボルにシンプルかつストレートに結実しています。この点が最大の魅力だと思います。地域産品に限らず、商品コンセプトはわかりやすことが一番です。
 加えて、コウノトリには「赤ん坊はコウノトリのくちばしで運ばれてくる」という伝承があり、それによって「ファンタジ-」「無垢・かわいい・愛らしい」「幸せをもたらす神様の力」などのイメージも内に秘めています。これらのイメージがユーザーの気持ちに潜在的に入り込み、ハートウォーミングで心地よい気分を提供しているのではないでしょうか。

ネーミング
 商品の内容をストレートに伝えているネーミングだと思います。また、お米らしくない名前がかえってキャッチーで、この商品を知らない人の目にもとまりやすいでしょう。
 ただし、少し長いのでリピーターはやや使いにくいかもしれません。生産者や関係者がどのような通称で呼んでいるかを知りたいところです。その通称が一般に伝わればクチコミが加速するかもしれないません。

パッケージ
 全体的にはオーソドックスなデザインで、お米らしさを出しています。
 ただ個性的なネーミングやシンボルマークの完成度に比べると、デザインはちょっとおとなしいかもしれません。リアルさは裏面にまかせて、表面はコウノトリと人間との共生のイメージをもっと出す案もあると思います。

プロモーション
 価格が高めなので一般的な食用需要にはつらいかもしれません。しかし、コンセプトが強力なので、友人へのちょっと気のきいたプレゼント訴求、幸せを願った「ここぞ!」という時の勝負食(パワーフード)訴求、少子化対策のシンボル商品化(結婚祝いや新婚家庭への贈り物)などのアイデアがいくつでも考えられます。
 また、3.11以降、エシカル(倫理的、道徳的)消費が注目を集めています。環境問題をはじめとする社会問題に対して関心が高い層をターゲットとして設定することも有効でしょう。

参考になる点
 日本の多くの地域で社会的な問題の解決を目指していろんな取り組みが行われています。この商品のように、地域産品の開発と販促にあたって、地域活動との連携と情報発信、シンボルの共通化といった作業は大いに有効だと実感しました。
 また、伝承性(ex.「赤ん坊はコウノトリのくちばしで運ばれてくる」)が商品のイメージを膨らませ、ソフトで温和な印象を付加することも発見でした。

※2011.7.31  東京交通会館1階 豊岡市アンテナショップ「コウノトリの恵み 豊岡」で購入



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