2011年9月12日月曜日

豆麩 (「松屋のまめ麩」 福島県須賀川市)







対象商品


「豆麩」(「松屋のまめ麩」  福島県須賀川市)
 今回は、固有ブランドである「松屋のまめ麩」を通して、麩の種類の一つである「豆麩」についてスタディしてみたいと思います。



商品概要
 麩を製法で分類すると生麩、揚げ麩、焼き麩などの種類があります。形から分類すると、焼き麩だけでも全国に豆麩、板麩、まんじゅう麩、車麩、丁字麩等々があります。
 豆麩とは文字通り、大豆の粒ぐらいの大きさの焼き麩で、福島県会津地方の郷土料理である「こづゆ」に使われる食材です。ちなみに「こづゆ」とはお正月・結婚式・節句など、おめでたい時に必ず作られる縁起のいい料理だそうです。

「松屋のまめ麩」は、直径5mm1cmほどの大きさです。
パッケージの裏書きは以下の通り。
注目の植物性高タンパク質食品! おふくろのまごころをつたえる「松屋のやき麩」 心ふれあうお料理に!

製造:松屋のやき麩本舗 大橋製麩所 (HPはない模様)
原料:小麦粉、グルテン 価格:210円(NET 70g) 

品質(試食の感想)
 みそ汁に入れて食べてみたところ、いくつもの白い小さな玉がぷよぷよとお椀の中に浮いていて、いいアクセントになっていました。味はほのかなやさしさを感じる味で、押しつけがましさはありません。
 ハンバーグを作ったときに餡の中に一緒に混ぜ込んでみたところ豆麩を噛んだときのぷにゅっという食感が楽しかったです。ボリュームが増えるのもいいと思いました。

コンセプト
 豆麩は会津の縁起のいい郷土料理の食材の一つですが、それだけで語るには惜しい食材 だと思います。この商品のモノとしての本質は以下の点にあり、それらが明確にコンセプト化されると、世の中にもっと受け入れられるのではないでしょうか。
 まず、麩は以下のような点で、今、注目されているカテゴリーです。
・低脂肪、高タンパク、消化吸収力が高い、アミノ酸含有などの特徴があるため、健康志向の食品として注目を集めています。実際、ベジタリアンやマクロビオティックなどの食生活をしている人が愛用しているそうです。
・応用のきく食材として創作レシピやアレンジメニューでよく使われています(ex.北斗晶の節約レシピ等)。
 他に、B-1グランプリの登米・油麩丼で話題となりましたし、実際に店頭でも品揃えが増えていると思います。

 このように注目されている麩カテゴリーの中で、豆麩はオンリーワンのポジションにいると思います。なぜかというと、小さな形状と個性(味、食感)を主張しない控えめな存在であることを逆手にとって、ユーティリティープレイヤーとしてブレイクする可能性を秘めているからです。
 生麩や揚げ麩は味の主張が強く、それだけでメニューの主役になれる食材です。一方、焼き麩はもともとが応用されることが前提で、汁物、椀物、和え物、煮物などに幅広く使われています。これは精進料理の食材として重宝されていたという背景があるからでしょう。他にもすき焼きなどの鍋物にも使われます。
 そのような幅広いメニューで使われている焼き麩の中でも、豆麩は小さな形状という特性から、和食という範疇を越えてスイーツや飲み物などのトッピングアイテムとしても使われているようです。豆麩をWeb検索してみると、キャラメルポップコーン、ココアプディング、飲み物(ミルク等)やヨーグルトのトッピング、ミニトマトやはちみつなどと一緒にしたみつ豆感覚のメニューなどがヒットしました。どれも、それなりのクオリティがありそうで、一度は作ってみたくなるものばかりです。今後、こういうメニューやレシピはどんどん増えていくでしょう。
 以上のようなポイントを踏まえると、斬新なリニューアルや新商品開発ができると思います。

ネーミング&パッケージ 既存商品のエクステンションや新商品開発を前提として
 方向性としては2つ考えられます。
 一つはエッジを立たせないことをエッジにした方向性で、例えば「無印良品」のようなシンプルなものです。
 もう一つは、をモチーフにしたポップ路線で、キャラクターの活用、料理やデザートを作る楽しさを演出、といった方向性が考えられます。

プロモーション
 「こづゆ」のDNAを使うならば2つほどあるのではないでしょうか。一つは、縁起=ラッキーをキーワードにした願掛けの方向性で、例えばキットカットのようなやり口です。もう一つは、家族にいいことがあった日のお祝いの料理に入れるというもので、願掛け食材的なアイデアです。どちらも、クチコミがきっかになって話題が広がることが理想です。
 もう一つ、ユーティリティープレイヤーという性格にフォーカスするならば、豆麩を使ったレシピやメニューをWebや店舗、パッケージなどで露出する手立てがあると思います。一定の手応えがあった段階で、アイデアレシピコンテストといった次のステージに切り替えるといいでしょう。

参考になる点
 郷土料理というベールの下に大事な本質が隠れている、ということがわかりました。どんな商品であれ、先入観を一度捨てて素の状態で見つめ直すことが重要ななのだと改めて思いました。
 この商品は、野球でいえばワンポイントリリーフのピッチャーかもしれません。エースで4番ではないですが、ここぞという時にいい働きをする玄人好みの選手です。名監督はその選手の潜在能力を見抜き、適材適所の活躍の場を用意するといいます。地域産品も、その商品の特質を見抜いた上で、どのような時と場合にその良さを発揮するかを考えることが大事だということもわかりました。

2011.7.31 福島県八重洲観光交流館で購入)



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